


他にはリモートスイッチ(電磁レリーズ)やPLフィルターも必需品です。内観撮影ではほとんどの場合スローシャッターなので、シャッターを切るときは必ずリモートスイッチを使います。PLフィルターは特に内観撮影時に床のテカリを調節するのに使います。
このようなマイペースな更新しかしない、また情報も偏りまくりなブログですが多くの方々が毎日訪れてくださっています。本当に感謝!感謝!です。これからもマイペース & 情報偏りまくりなブログになると思いますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

Canon EOS 5D MarkII SIGMA 12-24mm F4.5-5.6 EX DG ASPHERICAL /HSM 12mm F11 30秒 ISO1600 RAW
DPPにて色温度2500Kで現像後、フォトショップCS4で建物の歪み、色調・コントラストを調整しています。アオリ量がハンパではないので、歪みの補正はフィルターのレンズ補正では無理で、昔ながらの方法で行っています。( レイヤーをアクティブにして編集 - 変形 - 遠近法 ) ちなみに☆は種をあかすと数を若干増やし、長時間露光で線のように長く写ったものを短くしています。(^_^; 画面ではまぁまぁキレイに見えてますが、実際にお送りした年賀状は星が潰れてホコリがついているように見えなくもない。(汗)

ホームページを見てくださった大手建設会社様からのご依頼で、神戸にて竣工写真撮影をしてきました。遠方なので比較的現場に近いシーサイドホテル舞子ビラ神戸に前日泊です。このホテルは明石海峡大橋の袂にあり、ほとんどの部屋は明石海峡~淡路島までが見渡せるオーシャンビュー、、、なのですが、私が泊まったのは山側の部屋。垂水区のしょぼーい夜景しか見えません。海側と山側では若干値段が違うのです。仕事のときは(も?)いちばん安い部屋に泊まります。(なんとセミダブル1泊食事なしで税込み4,500円!!) 10時頃にチェックインしたんですが、悔しいので夜な夜な海側の庭に出て撮影してきました。

竣工撮影のほうは天気も良く、朝9時にスタートして午後3時頃に無事終了しました。今回は竣工写真集プランの16~25カットでご依頼いただいたのですが、物件の規模が大きいのと、2種類作成しないといけないため、撮影カット数は100カットにものぼりました。この中からセレクトして作成させていただきます。撮影終了後、クライアント様に「数あるカメラマンの中から、しかも出張料や旅費のかかる松山からわざわざ呼んでくださった理由」を尋ねてみたところ、「ホームページを見させてもらって写真のイメージが自分に合っていた。」とのお答をいただきました。カメラマンにとってはこの上なく嬉しいことです。励みにもなります。「たまたまHPを見た」とか「安かったから」とかいう理由じゃなくてよかったです。(^_^;

今回はEOS 5D MarkⅡで撮りましたが、やっぱりフルサイズはいいですね。広角に余裕があるので安心感がありますし、ハイライトが結構粘ってくれるので今回のように直射日光が差し込んでいてもその部分が飛んでしまうことはありませんでした。

■ アオリ
この建物は安藤忠雄氏設計の鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造で、上から見ると三角形をずらして重ねたような形をしています。ファサードに垂直のラインはなく、建物の歪みを4×5カメラのアオリのように補正する場合は周囲の建物を基準にしなければなりません。この写真は目線の高さから撮影しており、4×5で言えばアオリは相当な量です。超広角の12mmで撮影していますので、仮に4×5で撮影できたとしても空の上部分にはくっきりとしたケラレができているはずです。
4×5のアオリは見上げる(ライズ)と画面の上部分のトーンが落ち、見下ろす(フォール)と下部分のトーンが落ちます。建物外観の場合は空のトーンが落ちて有効な場合が多いのですが、引きがなく超広角レンズを使用した場合にはクッキリとしたケラレが生じたり、そこまでいかなくても建物の上三分の一程度が青黒ーくなってしまうことがあります。
また、室内写真ではどちらか片方のトーンが落ちると本来のイメージとは異なった写りになってしまうことがあります。例えば天窓のある吹き抜けを見上げて撮影するような場合、天窓より降り注ぐ光により明るいイメージで撮りたいのですが、4×5でライズを使うと上部分が暗く落ちてしまいます。また、広いリビングなどを見下ろして撮影すると床部分のトーンが落ちてしまいます。画面の「周辺光量落ち」は実は個人的には大好きで、画像処理で意図的に落とすこともよくあります。どことなく味があり、レトロっぽい雰囲気が出るので好きなのですが、こと建築物の室内写真では周辺光量落ちは「いただけない物」だと私は思います。
このように4×5での撮影は実際のイメージとは異なった写り方をする場合がありますが、デジタルではそのような心配はなく、イメージどおりに撮影することができます。ただし欠点もあります。実は上の写真は横位置で撮影しているのですが、歪み補正によって左右がトリミングされ、縦の構図になってしまいました。通常はここまで切れることはありませんが、この例のように大きな建物でなおかつ引きがなく、超広角レンズで撮影しなければならない場合はこのようになってしまいます。ですので、撮影時にはトリミングされること常にを想定しておかなければなりません。(上の作例は左手前に看板があり、それを避けるために相当建物に近づいて撮影しています。超広角レンズを使用し、通常ではあり得ないほどのアオリ補正量ですので、このようになっていますが、通常は横位置の写真が縦になることはありません。)
■ ミックス光源
ミックス光に強いのはデジタルカメラの最大の利点です。ネガフィルムでは一部プロ用フィルムの中にミックス光に強いものがありましたが、ポジ(リバーサル)フィルムではそうはいかず、フィルター補正を駆使して撮影しなければなりませんでした。野外撮影でもノーフィルターで撮れるのは晴天順光のみで、逆光や曇天でもフィルターは必需品でした。(建築写真の場合)
また室内においては様々な光源に合わせてフィルター補正しなければならず、同じ室内に種類の違う光源がある場合はその光源ごとにフィルターを入れかえ、多重露光をかけるなどの複雑で高度な技術が必要とされました。特に日中に撮影するときは外光が入ってきますので、補正は更に複雑になります。ですので、フィルム(ポジ)時代は室内撮影は夕方~夜間に撮影することが多くありました。
これがデジタルになって(特に最近のカメラは)何も考えなくても綺麗に写るようになってきました。デジタル初期の頃に多用したマニュアルホワイトバランスも最近ではオートホワイトバランスがメインです。ただし建築写真の場合は必ずRAWモードで撮影します。それは光源の色味や色温度を画質の劣化なしで調節できるからです。上に書きました複雑で高度なフィルター補正がパソコン上でできるのです。しかも撮影は多重露光なしの一発撮りです。
ただ、かつてプリント納品が多かった建築撮影ではネガフィルムで撮影することが多く、その撮影はノーフィルターの一発撮り、色味の調節もラボ任せでしたので、それから思えば少々手間が増えたことになります。しかしラボ任せよりも自分で調整する方が納得のいく色が出せるので断然いいですね。
■ ラチチュード
ラチチュードとは1枚の写真で再現できる明暗の階調範囲のことをいいますが、現在のデジタル一眼のラチチュードはポジフィルムと比較するとハイライト側ではほぼ同等、シャドー側ではやや広いようです。それでもネガフィルムとの比較ではまだ狭いのですが、そこは合成でカバーすることができます。例えば、室内から窓を入れて撮影した場合に通常なら窓の外は明るすぎて階調は飛んでしまいますが、デジタルなら窓の外に露出を合わせた画像と合成することで両方の階調を出すことができます。(窓の外を完全に適正露出にすると不自然に見えるので、若干明るめにします)合成というとインチキのようにも聞こえますが、人間の目はよくできていて、室内から窓の外を見ても階調が飛ぶことなくちゃんと見えているのです。私は人間の目で見た感じに近づける合成はインチキではなく、大変有効な手段だと考えています。
■ 撮影スピード
撮影スピードの速さもデジタル撮影の大きな利点です。つい先日も地元施設の竣工写真を撮影しましたが、朝9時にスタートして外観・内観を80カットあまり撮影し、お昼過ぎには一段落していました。あとは日の廻りを考慮して午後遅めに数カットを残したのみです。このカット数をフィルム(ポジ)で撮影していたらどれだけ時間がかかったことか・・・。ただ、デジタルは後処理(歪みや色味・色温度・コントラスト調整etc)に相当な時間を要するので、トータルで考えればフィルムのほうが仕事離れは速いかもしれません。しかし撮影の間中待たされるクライアント様や施主様の立場になれば撮影は速いに越したことはありません。
■ 撮影コスト
デジタルカメラはフィルム代、現像代、ポラなどの感材費がかからないので、撮影費を安く抑えることができます。しかしいくらでも安くできるというわけではありません。なぜならデジカメは銀塩カメラらと比較して機材の更新を頻繁に行わなければならないからです。銀塩時代はカメラもレンズも一度買うと相当長い期間使うことができ、ハッセルなどではオーバーホールしながら一生使うこともあったようです。また、銀塩では描写を直接左右するのはレンズだけですが、デジカメはレンズ、ボディ双方の組み合わせで画質に影響してきます。ですので、機材の更新も両方が必要になります。(技術の進歩も早いし) 撮影費を安く押さえようとすると機材の更新ができなくなり、写りもそれなり、、、ということになってしまうのです。
■ まとめ
このようにデジタル撮影では多くのメリットがありますが、実はカメラマンは撮影後に膨大な量の画像処理が待っているのです。知らない方も多くいらっしゃると思いますが、カメラマンがパソコンに向かっている時間は撮影時間よりも長い場合が多いのです。カメラマンの多くが睡眠時間を削り、眠たい目をこすりながら画像処理をしていますので、どうかクライアントの皆さん、撮影料を値切らないでください。よろしくお願いします。(^_^; 長文にお付き合いいただきありがとうございました。

天気も撮影時間もよくありませんが、建築スナップということで・・・



正面玄関を入ったところのフロア。

階段側から外に向かって。

1階フロアでは子供絵画教室の展覧会をやってましたのでほとんど撮影できず・・・

階段踊り場にあるステンドグラスはハワイに特別注文したそうです。

踊り場より2階に向かって

2階に上がって左の廊下を奥から撮影

2階では別の企画展をやってました。建物以外には興味なく・・・・。(失礼)


建物内には観光客の方もおられ、三脚を立てることがはばかられますので、カメラの感度を上げて手持ちで撮影しました。若干暗い写真もありますが建築スナップということで・・・ (言い訳) ここで個展などを開催される方には申し訳ないのですが、萬翠荘は純粋にフランス式近代建築として、建物の展示を行ったほうがよいような気がしました。






道後温泉に入るために旅館に泊まる必要はなく、外湯で楽しめます。入浴後には浴衣を着てお茶とお菓子をいただきます。古くて狭くて迷路のような建物内は温泉情緒というより「千と千尋の神隠し」的な雰囲気が味わえます。(" 千と千尋 " はこんなに狭くはありませんが・・・)地元の方も是非行かれてみては?